PAPA pa pa pa

パパが6カ月の育児休業をとって知れたこと

息子が川崎病で入院した話 中編

 

入院

体中に管を付けられた息子を見て、心が締め付けられました。

この数日で何回注射をしたんだろう。よく頑張ってるね、偉いぞ、とベッドで昼寝する息子の頭を撫でました。

 

入院することになった地方の基幹病院はとても巨大で、受診前は「今日はこの建物を冒険だよ」なんて冗談を言っていましたが、いま目の前で眠る息子の姿が現実でした。

 

「ついに入院か…」

 

ここ数カ月で子供がかかる主要なウィルスにやられっぱなしです。余裕の無い生活が続いていました。そしてダメ押しのように襲い掛かってきた川崎病。私も疲れていたと思います。ベッド横の椅子に力なく体を預け、溜息と一緒に本音がこぼれ落ちました。

 

 

 

川崎病とその併発病 

すぐに診せに来て!といわれ、急いで駆け込んだいつもの掛かり付け病院。そこで指摘されたのは川崎病の可能性でした。

 

川崎病とは、4歳以下の子供に多い病気で、全身の血管に炎症を起こす病気なので色々な症状が出るそうです。主な症状は6つ。

5日以上の発熱、手足の先が硬く腫れる、体に赤い発疹、目が赤くなる、苺舌、首のリンパの腫れ。

 

このうち、5つ以上の症状がみられると、川崎病と診断されます。この病気は血液検査でウィルスが出る訳でも無く、現在のところ原因も解明されていないようです。なので、医師が症状を目視し、親からの問診で判断されます。

 

息子はこのうち4つしか該当せず、しかも駆け込み時には熱は下がり発疹も消えていました。そして発症からずっと元気。

 

それでも医師の眉間にできた皺は消えませんでした。

「やっぱり心配だから、基幹病院で診てもらった方がいい。いい先生がいるんです。紹介状書くから。」

 

医師は、川崎病そのものよりも、合併症で発症する恐れのある冠動脈瘤を心配していました。

 

動脈瘤になると、心臓に瘤が出来て心筋梗塞等を発症する恐れがある、と医師はいいます。重篤な病気が隠れている可能性があるなら、出来る限りの検査を受けて欲しい。医師の説明からは息子を気遣ってくれる想いを感じました。

 

医師は、明日の朝一で紹介状を持って受診すると言う私に対して

「いや、今からそのまま行って下さい」と釘を刺しました。

それは、緊急を要することを私に早く分からせるための言葉でした。

 

再び、重い曇天のような不安が私の心を覆いました。

 

 

 

判断の難しさ 

紹介された病院はとてつもなく大きくて、こんな地方都市にこれほどの施設が作れるのかと驚きました。街開発の中心として位置付いてるようで、駅や市役所、商店街が近く、街自体を綺麗にまとめているような印象です。

 

担当してくれた男性医師はとても丁寧に私の言葉を聞き取ってくれました。

こんな症状はありませんでしたか?発疹はどんな形でしたか?夜も機嫌はいいですか?

 

普段は、知らない大人に人見知りをする息子ですが、楽しませながら時間をかけて聴診触診を進めてくれました。紹介してくれた掛かりつけ医が言っていた「いい先生がいるんです」の中には、こういう「丁寧さ」も含まれていたのかもしれません。

 

血液検査、X線検査も経て、担当医が出した診断はやはり川崎病の「疑い」でした。不完全川崎病というのもあるそうです。こういった診断の難しさや曖昧さは、川崎病が未だに解明されていない病であることを象徴しているように感じます。何はともあれ、完全にその病を否定できない限り、冠動脈瘤の心配が付きまとう訳です。

 

医師の説明では、まずは発症から2週間が冠動脈瘤が発生する警戒期間であるため、その間は入院をして病院で経過観察をしましょう、という事でした。発症からすでに1週間がたっていたので、あと1週間の入院です。幸い、今のところ心臓に瘤はできていませんでした。

掛かりつけ医が急かしてくれた理由はここにあったのだと、この時に気付きました。

本来であれば、なるべく早く瘤の発生を抑える薬が必要だったようです。もしも、もっと受診が遅くなっていたらと考えると背筋が凍り付きました。

 

 

慌ただしく入院の手続きをしながら夜を待ち、仕事を終えた後に入院準備を整えてやってきた妻と交代しました。

 

病院からの帰り道。車を走らせた真っ暗な夜道が、息子が迷い込んでしまった迷路のようで不安にさせます。それでも、ハンドルを強く握り、孤独にはさせないと気を引き締めました。

 

つづく

 

*記述した医学的内容は私が担当医や掛かりつけ医から聞いた内容ですが、聞き間違い等があるかもしれません。もしもお子様が川崎病と診断された場合は、必ず、あなたが担当医より受けた説明に基づいて行動してください。

 

 

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