PAPA pa pa pa

パパが6カ月の育児休業をとって知れたこと

親が子供のやるスポーツを決めるのは強制することになるのか

 

 幼児に厳しく指導する親御さんって、意外と多いものです。

 数年前に、姪っ子が参加したストライダー(ランニングバイク等)の大会を観に行ったとき、会場脇で厳しくお子さんを叱責するパパを目撃しました。

 

 全身をライダースーツの様な本格的なユニフォームで身を包み、フルフェイスのヘルメットを被ったその子は、身長から推測するに4歳〜5歳くらい。本気でストライダーをやっているんだなと、一目で分かる出で立ちでした。

 

 何が理由かは分かりませんが、えづきながら泣いているその子と恐ろしい形相のパパを見て、「この子、ストライダー楽しいのかな…?」と疑問に思ったものです。

 

 その頃はまだ私達夫婦に子供はいませんでしたし、子供の成長について深く考えることも無かったので、そういう親子関係もあるんだろうなと思いました。

 

 それから時が流れて、先日、姪っ子が卒業したストライダーのバイクを私の息子が引き継ぎました。

 

 ストライダーはバランス感覚や脚力がつくと評判の、6歳までが参加できるスポーツです。姪っ子が5歳くらいから補助輪なしで自転車に乗っていたのを見て、ストライダーの影響は大きいなと日々感じていました。スポーツの導入としては最適だなと、息子にさせてみようと以前から決めていました。

 

 偶然、隣町で小さな大会が開催されるというのでエントリーしました。十分な練習もできないので、今回は周りの同年代の子達を見て、これから始めるこのスポーツの雰囲気を感じてくれれば良いと思いました。

 

 それでもレースに出るために、最低限バイクに座って歩くくらいはしたいなと、大会までの2週間、隙間時間や週末を利用して、なるべくバイクにまたがる練習をしました。

 

 

嫌々な息子

 しかし一生懸命な私とは正反対に、息子はストライダーより石ころ遊びに心を奪われます。なんとかポケモンシールやご褒美で釣って、またいで歩かせたりヘルメットを被らせたりしましたが、到底他の子と競争するレベルまで持っていけませんでした。

 

 そして大会当日、会場の雰囲気に慣れないまま、息子はママの抱っこから脱出できません。ベッタリとくっ付いて離れない息子は、もちろんバイクにも乗りたがらず、本番までの時間がどんどん無くなっていきました。普段とは違う環境のせいか、釣り作戦にも全く耳を貸さず、もう絶対に乗らないぞと目が決めていました。

 

 正直、競技の雰囲気も見れたし、このまま棄権しようかなと、そんな考えが頭をかすめました。

 

 「でも本当にそれでいいのだろうか…」

 

 

親が子供のやるスポーツを決めるのは、子供に強制することになるが、悪いことではない

 今回のこの大会参加も、ストライダーをやるという事も、もちろん2歳の息子が言い出した事ではなく、親である私が彼のためになると判断して決めた事です。それだけに、彼が嫌だと言っているのに、無理にレースに参加させることに抵抗感がありました。

 

 しかし、2歳の子供がスポーツに限らず、自分のやりたい事を自分で見つけてくるなんて事は難しいです。他のお友達や兄弟がやっているのを見て、自分もやりたいと言う機会が無いならば、親が選び子供に経験させてみるしか、スポーツや習い事との出会いは無いと思っています。

 

 それだけに、親は子供が楽しめる努力をしなければなりません。それが大前提で、一定期間はやらせてみて、続けるかどうか判断するのも親の責任かなと、今は思っています。数カ月は根気よく続け、本人がどうしても楽しめないとか、他にやりたい事を自分で見つけて来たとか、そんな時は潔く辞めるのでいいと思うんです。そうでないと、早々に一つの種目の可能性を潰すことになるし、逆に無理に続けさせるとそのスポーツを嫌いになりかねません。

 

 

子供が不在の決定に、親は責任をもつべき

 「はい!」

 選手紹介で名前を呼ばれると、グズってる割に、息子は意外なほど元気な返事をしました。

 

「そうだ、昨夜は返事の練習もしたんだよな…」息子は一生懸命レースに向けて練習してたじゃないかと、恥ずかしながら気付いたのでした。

 

 ヘルメットもグローブも着けようとしない息子は、ルール上バイクには乗れません。係の方にお願いして、手を繋いで「歩き」で参加させてもらう事にしました。それは、今日のレースに参加を決めた私の責任と、息子にこの種目をしばらくやらせるという私の覚悟を貫くためでした。そこに息子の意思はありませんが、無いからこそ、親の責任を自分に感じさせました。

 

 私がバイクを引きながら一緒に歩き、ママはコース外から声をかけました。息子はトコトコと歩き、途中でコース外に逃走を図ったりもしましたが、周囲の協力と応援もいただきながら無事にゴール。全部歩き切ったこと、しっかり返事ができたこと、それをたくさん褒めました。

 

 参加賞のメダルを「こんなんいらねーし」と言わんばかりに放り投げる息子を見て、前途多難だなと溜め息をつきましたが、最初はこんなものだろうと楽観的に考える事にしました。どんな結果になろうが家族で頑張ります。その後の成長もこのエッセイで伝えて行けたらいいなと思います。

 

 その日の夜、いつか見かけたスパルタお父さんに想いを馳せました。もしかしたらあのパパも、「やらせる」と決めた責任を全うするため、敢えて自分の子に厳しく接していたのかもしれません。あの大泣きしていた子が今は成長し、「お父さん大好き」と言えてればいいなと願うのでした。

 

おわり

 

 

vyamax.hateblo.jp