PAPA pa pa pa

パパが6カ月の育児休業をとって知れたこと

私達が背負って来たものと、子供達に渡すもの

 

「いい大学に入って、いい会社に就職しなさい」

 

 当時、私の周りにいた全ての大人たちは、その概念を疑うことなく子供たちに教え込んでいました。

 

 受験の波にのみ込まれた15歳から、就職が決まる25歳まで、私の青年期はそんな言葉が詰め込まれた時代でした。

 

 私も疑うことなくそれを受け入れ、何でこんなに勉強が辛いのかを考えもしないまま、「将来のため」と割り切って、乱れる集中力を必死で机の上の参考書に注いでいました。

 

 

あの時代の価値観、それが正解だった

 

 バブルが崩壊した90年代、それまで好景気に浮かれていた世の中は奈落の底に落とされました。

 

 タクシーを止めるのに万札を見せびらかしていた若者が「会社は潰れる」という現実に直面し、失業者が街に溢れ出すにつれ安定の尊さに気付きます。世界が一変したのですから、その衝撃は想像に難しくありません。

 

 そんな時代を生きた若者が親になり、子供のために思考の舵を極端にきった気持ちも分かります。その結果、義務教育で一律の価値観に浸された子供たちは、疑問を持つことなく「安定」だけを理由に将来の夢は公務員と語る結果になったのでした。私もその一人です。

 

 

今も続く安定志向

 

 私が高校生の頃は周囲から遅れを取らないことに必死で、時代の価値観に対して疑問を持つなんていうベクトルが向きませんでした。

 

 高校生になって、勉強の難しさに着いて行けなくなると、自分の居場所がなくなるように感じました。勉強以外でも、自分の存在が世の中から浮いているような、地に足が付かない状態で過ごしていたのを覚えています。

 

 人生はどんな縁があるか分からないもので、予備校時代に出会った先生のお陰で「大学に行ったらアジアを一人で旅したい」という目標ができました。短期的ではあるにせよ、その想いが勉強をする意味を自分に与えてくれ、前に進めた気がします。

 

 あれから20年近く経ちますが、人々の頭の中は未だに安定欲求に支配され、親たちは子供たちが「安定した生活」を手に入れることを願います。今でも、将来の夢ランキングの上位には公務員が入っていることがその証拠です。

 

 

「安定」って何だ?

 

 組織が潰れない、給料が下がらない、ボーナスが出る、福利厚生がいい、それらをもって安定と言うのなら大間違いです。

 

 私は去年まで11年間、市町村職員の方々を対象にした事務をしていました。そこでは、病気や怪我で一時的に働けなくなった方々に傷病手当金を支給していましたが、支給理由の9割は精神的な病いでした。

 

 どんなにたくさん勉強して試験に合格しても、春から上司となる人がハラスメント人間であるかもしれません。また、任された業務に忙殺されるかもしれません。必死に努力して勝ち取ったその座席にしがみ付いているうちに、心は蝕まれてしまいます。

 

 勉強も就活も頑張ってきた子供たちにとって、それは安定と言えるのでしょうか。それは幸せなのでしょうか。

 

 

安定は自分の中にしかない

 

 もちろん私は、大きな組織に属する事を否定したいわけじゃありません。「いい大学、いい会社」に入ることが、まるでゴールに到達したかのような考え方に、危機感を覚えるのです。

 

 表面だけを見てそれを目指すよう子供たちを促し、その後の人生はまるでエスカレーターに乗るかのように思わせるのは、大きな間違いです。私たち親は子供たちに、様々な困難が立ちはだかる人生をしっかりと伝え、「型にはまった幸せ」を押し付けるのではなく、その子が幸せになれる考え方や価値観を与えなければならないのです。安定とは自分の中にしかないことを、親が自覚しなければなりません。そのうえで、子供たち自身が選んだものを応援するのが親の役目ではないでしょうか。

 

  ここまで、私の考えを綴らせてもらいました。あなたはどう思いましたか?私達が背負ってきた考え方や価値観は、今の時代に適合するでしょうか?引き継ぐかどうか、決めるのは私たち親です。しかし、絶対にしてはいけないのは、考えること無しに、前時代から渡されたものを次の時代に渡すことなのです。

 

 新しい時代を生きる子供達に、笑顔で過ごせる人生の土台をつくるのは、親の役目ではないでしょうか。

 

おわり

 

 

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